30歳までに読書1000冊

読書1000冊を読んだ先に何かがある…30歳のタイムリミットまでの読書記録です

【1冊目】服って何でこんなにセールで安くなるの?服屋を見る目が変わる。アパレル産業の今までとこれから。『誰がアパレルを殺すのか Kindle版』

 

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ちきりん氏も推薦の一冊。帯にでっかく「ちきりん」と書いてあったので途中まで氏の著作かと勘違いしてました。見かけた本屋でも平置きされていて話題の本ですね。

 

ざっくり本書を要約すると…

  • アパレル業界は低迷している
  • 原因はお客志向を怠たり内輪の論理に執心したこと
  • 顧客不在の現状を打破し、”変わる”ことが必要

 

アパレル店員の労働実態(給与の低さやブランドのターゲット年齢を超えた時の処遇など)が知れ、今まで何となく通りすがっていたアパレル店の見る目が変わります。

また、アパレルの原価構造への言及もあるので「大枚はたいて買ったセーターが少し経つとセールで半額以下になってるのは何なの。。。」という疑問が解けること間違いありません。

 

アパレル業界は不振に喘いでる

 

国内 アパレル の 市場 規模 は 1991 年 に 約 15・3 兆 円 あっ た が、 2013 年 には 約 10・5 兆 円 に 縮小 し た。 ここ 数年 は 訪日 外国人 による〝 爆 買い〟 特需 が 底上げ し て いる と 見 られ、 これ を 除け ば 既に 10 兆 円 割れ し て いる 可能性 が ある。

杉原 淳一; 染原 睦美. 誰がアパレルを殺すのか (Kindle の位置No.176-178). 日経BP社. Kindle 版.

 

他業界にもれずバブル崩壊リーマンショックを経て市場規模は年々縮小

ファストファッションに代表されるように消費者は安くてよいものへとマインドがシフトしていき客単価も下がっていった。

 

 

だがしかし…!!なんとアパレルの国内供給量は年々増えているのであった…!!!

 

 

セールで安くなりすぎ?アパレル業界のコスト構造

上述の通り市場はシュリンクしてるのに供給量はむしろ増えている…

それはアパレル業界特有のビジネスモデルに理由があります。

 

バブル崩壊後一気に消費が冷え込みましたが、そこで躍進を遂げたのがユニクロを代表とするファストファッション

彼らの成長のカギは中国での工場生産による人件費の抑制と大量生産によるスケールメリットを活かしたコスト削減でした。

 

彼らの成功を横目で見ていた他のアパレルメーカーは二匹目のドジョウを得んと中国での大量生産を模倣します。

原価を下げるために商品を大量生産し、百貨店やショッピングセンターなど様々な場所へ供給することでなんとか売上を確保。

 

当然大量の不良在庫が発生しますが、流行が重視されるアパレルは早く売り切らなければなりません。

 

結果として

「気に入った服があり定価で購入。その後セールで同じ服を見かけるとびっくりするほど値下げされてる…

なんてことが往々にして起こっています。

 

買いたい服がない…顧客不在のアパレル業界

目先の売上に執心し、顧客が求めていない商品を大量生産して市場にばらまき売上を作る。

この非合理的な過程では無駄なコストが発生しますが、

アパレルの定価にはこの”無駄に生産される製品コスト”も上乗せされているのです。

 

販売価格に占める原価の割合は低くなり、値段の割にクオリティが低い商品が並ぶ市場が形成されていきます。

 

サエコと恋仲になったあの社長...躍進している企業もある

 一方で躍進を遂げている会社もあります。

アパレルネット通販サイト『ゾゾタウン』を運営するスタートトゥデイです。

 

 2017年3月期の売上高は700億を越え、年々右肩上がりの売上高と営業利益を記録しています。

 

アパレル不振とは無縁の同社の成長のドライバーは「顧客ニーズ」と「サイト内に出店するアパレル企業の声」の双方をサイト作り反映したことにあります。

ゾゾタウンには数々のアパレル企業・ブランドが取り扱われていますが、そのすべての洋服のサイズを測り直し、異なるブランドでも消費者が簡単にサイズを比較できるようにしました。

また、出店するアパレル企業にもメリットを享受。百貨店に支払う受託手数料よりも安い値段を提示。結果参画するブランド数は増え、消費者の選択肢は格段に広がりました。

 

本書で紹介された企業で服買っちゃった

本書の中でスタートトゥデイとともに成長企業として紹介されていたのが「STUDIOS」や「UNITED TOKYO」など日本初ブランドを世界に発信する株式会社TOKYO BASEです。

 

TOKYO BASEが他アパレルと異なるのは原価率が高いことです。

 

国内アパレル不振の元凶は原価率を少しでも下げるために、中国での大量生産へと熱を上げ、結果的にクオリティーの低い商品だらけの市場を作ってしまったことです。

一方、TOKYO BASEでは高い技術を持つ国内の工場と直接取引しており、海外生産に比べて発注から市場投入までリードタイムが短くて済むことから市場の需要に柔軟に対応できます。

定価による販売で売り切ることを前提で生産し、余計な在庫を持たずセールによる投げ売りを行わないことにより、結果的に高い原価率でも利益を出せるようにビジネスを構築しています。

 

値段の割に質の良くない服に不満たらたらだった私は早速オンラインショッピングサイトをチェック。

 

 

質が高いだけでなくデザインも十分。。。

 

united-tokyo.com

united-tokyo.com

 

結局その日のうちにシャツを2着買ってしまいました。。。。

 

 

誰がアパレルを殺すのか

誰がアパレルを殺すのか